外壁塗装の工期の基本
外壁塗装の工期は、戸建て30坪前後でおおむね10〜14日前後が目安です。これは「足場→洗浄→下地補修→塗装3工程→付帯部→検査→足場解体」という標準フローを前提にした期間で、天候や建物の劣化状況、屋根同時施工の有無によって前後します。まずは“標準像”を理解し、そこから自宅条件に合わせて加減するのが失敗しない進め方です。
一般的な日数目安(30坪前後)
・足場組み立て・メッシュ養生:1日
・高圧洗浄:1日(乾燥に+1〜2日)
・下地補修・シーリング:1〜2日(乾燥含む)
・下塗り・中塗り・上塗り:各1日、計3日
・付帯部(雨樋・破風・水切り等):1〜2日
・最終検査・手直し・足場解体・清掃:1〜2日
合計で10〜14日前後が基準。乾燥・天候予備日を見込むと計画が安定します。
季節・天候での伸縮
梅雨や秋雨、真冬の低温・結露は乾燥時間を押し上げます。反対に春・初秋の安定した気候は工程がスムーズ。地域や方位によっては朝露の影響もあるため、カレンダー上の“予備日”を2〜3日確保しておくと安心です。
工程の流れと所要時間を詳しく知る
工期の内訳がわかると、何を短縮でき、何を変えられないかが判断できます。以下で各工程の目的と所要日数の目安、注意点を整理します。
近隣挨拶・仮設足場・養生ネット
足場は安全確保と品質の土台。メッシュ養生は飛散防止に不可欠です。組み立ては通常1日。通路幅や高低差が大きい敷地では半日〜1日延びることがあります。近隣挨拶は着工前のトラブル回避に効果的です。
高圧洗浄と乾燥
旧塗膜のチョーキングや藻・カビの除去で密着を高めます。洗浄は1日、乾燥は季節次第で1〜2日。ここを急ぐと密着不良で早期剥がれの原因になるため、乾燥待ちは“短縮しない工程”と心得ましょう。
下地補修・シーリング
ひび割れ、目地シールの打ち替え・打ち増し、素地調整(ケレン・フィラー)が中心。1〜2日を見込み、硬化待ちも考慮します。ひびの幅や下地の傷みが大きいほど工程は伸びます。
下塗り・中塗り・上塗り(3工程)
下塗りは密着・吸い込み止め、中塗り・上塗りで膜厚と意匠を作ります。各1日が基本ですが、乾燥時間を厳密に守る必要があります。高機能塗料や厚膜仕様は硬化時間が長くなる傾向があります。
付帯部塗装・最終検査・足場解体
樋・破風・雨戸・基礎水切りなどの付帯は1〜2日。完了後に社内検査・お施主様立会いで不具合を是正します。足場解体と清掃・引き渡しで1日。完了写真や保証書の受け渡しまでを“工期”に含めると認識齟齬がありません。
工期が延びやすい要因
工事の品質を守るために、意図的に“止める”判断が必要な場面があります。どんな要因が延長を生みやすいかを知っておくと、ストレスが減ります。
雨・湿度・低温・強風
雨天は原則として塗装不可。湿度85%以上や結露、強風での飛散リスク発生時も中止します。安全・品質を優先することで長期耐久性が担保されます。
予想外の下地劣化や追加補修
養生・洗浄後に素地の傷みが顕在化するケースがあります。サイディングの反り、爆裂、釘浮き、シーリングの深刻な劣化は補修を追加。結果的に工期は延びますが、放置は寿命低下につながるため必要経費です。
色替え・意匠性重視・屋根同時施工
濃→淡などの色替えは“止まり”を良くするため下塗りの工夫や回数増が必要。多色塗りや艶調整、屋根の遮熱仕様追加は工程を押しますが、外観・省エネの満足度は向上します。
工期を短く、でも品質は落とさないコツ
すべてを急ぐのではなく、“短縮して良い工程”と“絶対に短縮しない工程”を分けるのがポイント。事前準備と意思決定の前倒しで、ムダな停止時間を減らせます。
事前準備(住まい側)
・駐車スペースの確保(資材車・職人車)
・ベランダ・庭の片付け、植栽の養生指示
・室外機・給湯器周りの動線確保
・洗濯物の計画(洗浄日・塗装日・解体日)
居住者による準備が整うだけで、日中の小停滞が減り、実質工期の短縮につながります。
仕様決定の前倒しと材料手配
色・艶・塗料グレード、シーリング仕様、付帯部の色まで“着工前”に確定し、塗板で合意しておくと手戻りが起きにくくなります。材料は余裕を持って手配し、追加が出ても即日対応できる体制を共有します。
職人の動線設計と連絡体制
足場のエレベーター位置、材料置き場、電源・水道の取り出し位置を明確化。連絡はLINE等で“当日朝・終了時”の2点報告を標準化し、気象による予定変更も即共有できるようにしておくとスムーズです。
生活への影響と対策
塗装期間中も普段通り暮らせるよう、事前にストレス要因を把握して対策を立てましょう。体感ストレスが下がると、結果として作業もはかどります。
洗濯・窓開け・エアコン室外機
洗浄日と塗装日(特に上塗り)は外干し不可が基本。窓は養生で開閉制限がかかるため、在宅ワークや換気の計画を立てます。室外機は養生・一時停止が発生する場合があるため、ピーク日を事前に確認しましょう。
防犯・におい・騒音
足場設置中は窓の施錠を徹底。溶剤臭が気になる方は水性塗料や低臭タイプを選ぶ、作業時間帯(通常8:30〜17:30目安)を共有するなど、前広の合意形成が有効です。
よくある質問(Q&A)
疑問を先回りして解消しておくと、工期中の不安が減ります。品質を落とさずに進めるための考え方をQ&Aで確認しましょう。
雨の日は完全に休工ですか?
原則は休工です。無理な施工は艶ムラ・白化・密着不良の原因になります。工程表は“予備日込み”で組み、天候に応じて前後させるのが正攻法です。
作業は何時から何時まで?土日もやる?
地域の条例や近隣配慮に従い、概ね8:30〜17:30が一般的。土曜は現場状況によって実施、日曜・祝日は休工が多いです。騒音が出る高圧洗浄や足場関連は平日に集約することがあります。
工期短縮を優先すると品質は落ちますか?
乾燥・硬化の短縮は品質低下に直結します。一方、事前準備や意思決定の前倒し、職人動線の最適化は品質を落とさずに短縮できる部分。“止めてはいけない所は止めない”が合言葉です。
まとめ:適正工期は「品質×安全×近隣配慮」のバランス
外壁塗装の工期は、戸建て30坪で10〜14日前後が基準。乾燥・天候・下地の状態に応じて、必要な“待ち”を確保することが長期耐久性の要です。短縮は準備と段取りで行い、乾燥・安全・検査は厳守。工程の目的と所要時間を共有し、予備日も含めた計画で“ストレスの少ない塗装”を実現しましょう。結果として、仕上がりの美しさと持ちの良さ、そして近隣との良好な関係が同時に手に入ります。