
近年は大型台風やゲリラ豪雨が増え、「家はとりあえず建っていれば安心」という時代ではなくなってきました。とくに外壁は、風雨や飛来物の影響を直接受ける部分のため、日ごろの状態がそのまま台風時の被害に直結します。ここでポイントになるのが「外壁塗装」と「台風対策」をセットで考える視点です。見た目をきれいにするだけでなく、塗装そのものが台風から家を守る“防護服”の役割を果たしてくれます。
とはいえ、「外壁塗装をすれば本当に台風に強くなるの?」「どんな対策をしておくと安心なの?」と疑問に感じる方も多いでしょう。ここからは、外壁塗装が台風対策としてどのように役立つのか、具体的なポイントを順番に解説していきます。
台風時に起こりやすい外壁のトラブル
台風の際、外壁まわりでは次のようなトラブルがよく起こります。
・強い雨風による雨水の吹き込み
・外壁のひび割れからの雨水浸入
・塗膜のはがれやふくれの悪化
・飛来物による外壁表面の傷やへこみ
とくに、もともと外壁が劣化している場合は、少しの隙間からでも雨水が入り込み、内部の構造材を痛めてしまうことがあります。台風のたびに少しずつダメージが蓄積し、気がついた時には雨漏りやカビの発生といった大きなトラブルに発展することも少なくありません。
劣化した外壁が台風に弱くなる理由
外壁の塗膜は、新築時や塗り替え直後はしっかりと防水性を発揮していますが、年数の経過とともに少しずつ劣化していきます。
・色あせ
・チョーキング(手で触ると白い粉がつく状態)
・細かなひび割れ
などが出てきたら、塗膜の防水性が落ちてきているサインです。この状態で台風シーズンを迎えると、横殴りの雨が外壁の隙間から入り込みやすくなり、内部へ水が回るリスクが高まります。外壁塗装は、こうした劣化をリセットし、台風に対して強い状態に戻すための大切なメンテナンスといえます。
台風対策としての外壁塗装の役割
外壁塗装には「防水性」「耐久性」「耐候性」を高める役割があり、これらはそのまま台風対策にも直結します。ここを理解しておくと、塗料選びや施工タイミングを決める際の判断材料にしやすくなります。
防水性を高めて雨水の浸入を防ぐ
台風対策として最も重要なのが、防水性の確保です。外壁塗装によって表面に新しい塗膜を形成することで、雨水が外壁内部へ染み込みにくい状態に整えられます。とくに、
・ひび割れがある部分の補修
・目地やシーリングの打ち替え
・細かな隙間の補修
を塗装前の下地処理で丁寧に行うことで、台風時の豪雨から建物を守る力が大きく変わってきます。塗装工事は単に色を塗るだけではなく、「下地を直してから守る膜をつくる」という流れで行うことが重要です。
耐久性・耐候性を高めて長期的な台風対策に
外壁塗装に使う塗料のグレードによって、紫外線や風雨への強さも変わります。耐久性や耐候性の高い塗料を選ぶことで、台風だけでなく、日常的な雨や直射日光による劣化も抑えやすくなります。結果として、
・ひび割れが起こりにくい
・塗膜のはがれが起こりにくい
・外壁表面の劣化スピードが遅くなる
といったメリットにつながり、台風が来るたびに大きなダメージを受けるリスクを減らすことができます。
台風シーズン前に確認したい外壁チェックポイント
外壁塗装を検討する前に、まずは今の外壁の状態を把握することが大切です。プロに見てもらうのが一番安心ですが、その前に自分でできる簡単なチェックをしておくと、相談もスムーズになります。
自分でできる外壁セルフチェック
ご自宅の外壁まわりを一周して、次のようなポイントを確認してみてください。
・外壁の色あせが目立つ
・手で触ると白い粉がつく(チョーキング)
・ヘアクラックと呼ばれる細いひび割れがある
・シーリング材が痩せていたり、ひび割れている
・塗膜がふくれている、はがれている部分がある
・コケやカビ、藻が広がっている
これらが複数当てはまる場合、外壁塗装のタイミングが近づいているサインと考えられます。台風が来る前に、早めに専門業者へ相談しておくと安心です。
業者に相談した方がよい症状
セルフチェックの結果、次のような症状があれば、できるだけ早めにプロの診断を受けることをおすすめします。
・外壁のひび割れが太く、奥まで入っていそう
・室内の壁や天井にシミが出ている
・サッシまわりから雨が染み込んだ形跡がある
・台風のあとにだけ雨漏りする
これらは、すでに雨水が内部に入り込んでいる可能性がある状態です。外壁塗装だけでなく、防水工事や部分補修が必要になるケースもあるため、自己判断で放置せず専門家に見てもらいましょう。
外壁塗装とあわせて行いたい台風対策
台風対策は外壁塗装だけで完結するものではありません。建物全体をトータルで整えることで、より安心度の高い住まいづくりにつながります。ここでは、外壁塗装と一緒に見直しておきたいポイントを紹介します。
屋根・雨どい・ベランダのメンテナンス
台風時の雨水は、屋根から外壁、そして雨どいへと流れていきます。この流れのどこかに不具合があると、雨水があふれたり、思わぬ方向へ流れたりしてトラブルの原因になります。
・屋根材のずれや割れがないか
・棟板金が浮いていないか
・雨どいが詰まっていないか、割れていないか
・ベランダの排水口にゴミが溜まっていないか
などを、外壁塗装のタイミングで一緒に点検してもらうと効率的です。同時に補修をしておくことで、足場の費用を抑えられる場合もあります。
窓まわり・飛来物への備え
台風時は、強風だけでなく飛来物のリスクも高まります。外壁塗装できれいにしていても、窓ガラスが割れてしまうと室内に雨風が吹き込み、一気に被害が広がってしまいます。
・シャッターや雨戸の動作確認
・窓ガラスのフィルム貼り(飛散防止)
・庭木や植木鉢など、飛ばされそうな物の整理
といった対策も、外壁塗装と合わせて見直しておくと安心です。特に台風が接近する前には、改めて家のまわりを確認しておきましょう。
外壁塗装会社に台風対策を相談するときのポイント
せっかく外壁塗装をするなら、「台風対策も含めて相談できるかどうか」が業者選びの大事なポイントになります。見積もり内容や説明のしかたから、その会社がどこまで台風リスクを意識しているかを見極めていきましょう。
台風を想定した提案をしてくれるか
外壁塗装の相談をする際には、
・台風や豪雨のときに不安な点
・過去に雨漏りや外壁トラブルがあったかどうか
・家の立地条件(海が近い、高台にある、風が強い地域など)
を伝えたうえで、どのような塗料・工法を提案してくれるのかを確認してみましょう。台風リスクを意識した業者であれば、塗料のグレードだけでなく、防水性やシーリングの重要性、付帯部の補修なども含めて具体的に説明してくれるはずです。
見積もり・保証内容もチェックしよう
見積もりを見るときは、金額だけでなく次のような点もチェックしてみてください。
・下地補修やシーリング工事がどこまで含まれているか
・屋根や雨どいの点検・補修は含まれているか
・施工後の保証内容と期間
台風後に不具合が出た場合、どのように対応してもらえるのかも、事前に確認しておくと安心です。アフターフォローの体制が整っている会社であれば、台風シーズンの前後に点検をしてもらえることもあります。
まとめ|外壁塗装で台風に強い住まいを目指そう
外壁塗装と台風対策は、切り離して考えるのではなく、「家を長く守るためのセット」として捉えることが大切です。
・劣化した外壁は台風時の雨水浸入リスクが高まる
・外壁塗装は防水性・耐久性を高める重要な対策
・台風シーズン前のセルフチェックで早めに異変に気づく
・屋根や雨どい、窓まわりの対策もあわせて行う
・業者選びでは、台風を意識した提案・保証内容を確認する
こうしたポイントを押さえて外壁塗装を計画すれば、見た目がきれいになるだけでなく、台風に強い安心な住まいづくりにもつながります。ご自宅の状態や地域の気候に合った提案をしてくれる業者と一緒に、台風対策としての外壁塗装を前向きに検討してみてください。
