外壁や屋根の塗装は、時間の経過とともに紫外線や風雨などの自然環境の影響で徐々に劣化していきます。

見た目の劣化だけでなく、建物の安全を守るためにも、劣化が進んだ外壁の適切な時期に補修が必要です。

具体的にどのような症状が劣化のサインなのか、本記事では外壁塗装が劣化する主な原因と補修作業の費用、そして損傷を防ぐ対策について解説します。

 

外壁塗装の劣化原因

外壁塗装が時間の経過と共に劣化する主な原因は、次の3つです。

・環境的な要因
・塗料の耐用年数
・建材の耐久性

これらの原因が複合することで、外壁にはチョーキング（塗料が粉状になる現象）、ひび割れ、汚れ、剥がれといった劣化が現れます。

 

1.環境的な要因

外壁塗装の劣化に大きく関係しているのが、環境的影響です。環境的影響には、紫外線や日光、温度変化や風雨といった気候的条件が含まれます。

外壁塗装はこれらの外的要素に毎日晒されるため、徐々に劣化していきます。気候的影響を受けない場合、外壁塗装の劣化は遅くなると言っても良いでしょう。

環境的な要因は避けがたい劣化の一因ですが、すべての建物がこれらの影響を受けています。

 

2.塗料の耐用年数

外壁塗料の耐用年数は、塗装の劣化に大きく影響します。耐用年数とは、塗料が自然に保つことができる期間を指し、使用する塗料の種類によって異なります。

一般的な耐用年数は以下の通りです。

• アクリル塗料：約6～8年
• ウレタン塗料：約8～10年
• シリコン塗料：約10～15年
• ラジカル塗料：約12～15年
• 光触媒塗料：約13～20年
• フッ素塗料：約15～20年
• 無機塗料：約20～25年

選ぶ塗料によって、耐用年数が異なります。耐用年数が長い塗料は一般的に価格が高くなるため、予算と要求する耐久性を考慮して選びましょう。

 

3.建材の耐久性

外壁塗装に使用する建材の種類によって、その耐久性や寿命が異なります。そして、外壁材の耐用年数に直接影響をあたえるのです。

サイディング、レンガ、コンクリートなど、さまざまな建材が使用されていて、それぞれの素材で耐用年数が異なります。

家の外壁塗装の耐用年数を正確に知りたい場合は、経験豊富な専門業者に確認を依頼してください。

 

外壁塗装の補修費用の相場

地域差がありますが、外壁塗装の大規模補修作業の費用は、一般的に80万円から150万円ほどです。

補修費用に関係するポイントは、次の3点があります。

・建物の規模
・劣化の程度
・選択する塗料のタイプ

これらのポイントを、予算の設定で参考にしてください。

 

1.建物の規模

外壁の補修費用は、建物の大きさと関係しています。一般に、建物が大きければ大きいほど、必要な費用も増加します。

さらに、建物の形状も外壁塗装の費用に大きく影響します。形状が複雑な建物は、表面積が増えることや足場の設置が複雑になるため、費用が高くなることがあります。

単純な箱型の住宅では、メンテナンスが比較的簡単であるため、コストを抑えて工事を行うことが可能です。

 

2.劣化の程度

外壁塗装の劣化状態は、補修費用に大きく影響します。約80万円から150万円の費用相場は、完全な再塗装が必要な状況を想定しています。

もし劣化が軽度で、部分補修や高圧洗浄のみが必要な場合、費用はそれほど高くなりません。

状況によっては、さらにコストを抑えて補修が可能な場合もあります。信頼できる外壁塗装業者に相談し、正確な見積もりを取ることがおすすめです。

 

3.選択する塗料のタイプ

外壁塗装の補修費用は、使用する塗料の種類によって異なります。例えば、アクリル塗料は耐用年数が短めですが、比較的低コストで塗装が可能です。

一方で、フッ素塗料や酸化チタンが含まれる機能性塗料は、価格が高めです。

高い耐久性を持ち、劣化に強い無機塗料を選ぶ場合、80万円から150万円の通常の費用相場を超えることもありますので、選択には注意が必要です。

 

外壁塗装劣化防止の対策

外壁塗装の劣化を最小限に抑えるためには、以下の3つの対策が効果的です。

・適切な塗料の選択
・定期的な点検
・外壁の洗浄

経年による劣化は避けられないものの、これらの対策を実行することで、塗装の寿命を延ばし、結果的にリフォーム費用を削減することが可能です。

次に紹介する対策を参考にしてください。

 

1.適切な塗料の選択

新築や外壁塗装のリフォームには、将来の劣化を防ぐために塗料を慎重に選ぶことが重要です。たとえば、耐候性が高い塗料や特定の機能を持つ塗料を選ぶことで、劣化の速度を遅らせることができます。

耐候性に優れた塗料として、フッ素塗料が挙げられます。紫外線耐性が非常に高く、長時間紫外線に晒されても劣化が遅いのが特徴です。紫外線は劣化の主要因の一つであるため、フッ素塗料は外壁保護に適しています。

機能性塗料としては、光触媒塗料があります。紫外線に反応して外壁の汚れを分解し、雨で洗い流す自己清掃効果を持っています。しかし、色の選択肢が限られていることや、日陰では効果が低下する可能性がある点には注意が必要です。

 

2.定期的な点検

外壁塗装の劣化を防ぐための一つの手段は、定期的な点検を実施することです。専門の外壁塗装業者による定期的な点検を行うことで、早期に必要な補修作業を行い、外壁の寿命を延ばすことができます。

専門業者が行う点検では、外壁の表面だけでなく、通常は見過ごされがちな建物の内部の問題も、早期に発見することが可能です。

 

3.外壁の洗浄

外壁の定期的なメンテナンスも、劣化や損傷の進行を遅らせるのに有効です。外壁に付着するコケや藻は、塗装を劣化させる原因となるため、定期的な清掃が必要です。

一般家庭用の高圧洗浄機でも軽度の汚れは取り除けますが、より効果的な洗浄を求める場合は、専門業者による高圧洗浄を検討してください。

 

まとめ

外壁塗装が経年劣化する主な原因は、紫外線の影響や、使用された塗料の耐久性にあります。チョーキングやほかの劣化現象が見られる場合、劣化状態に応じた適切な補修が必要です。

今回紹介した劣化予防策を取り入れることで、ご家庭の外壁をより長く安全な状態で維持できるでしょう。劣化の兆候が見られたら、早めに専門の外壁塗装業者に相談することをおすすめします。